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e-cancer:がん全般 最新のがん治療と骨の健康リスクに注目した新たなレビュー

25 Jun 2025

International Osteoporosis Foundation (IOF) Bone and Cancer Working Groupは、現代の抗がん剤治療が骨の健康に与える影響について、しばしば過小評価されている点を詳述した包括的なレビューを発表した。

Calcified Tissue International誌に掲載された論文「Bone Effects of Anti-Cancer Treatments in 2024」は、ヨーロッパ、オーストラリア、カナダ、南アフリカ、中東の14名の専門家からなる国際チームによってレビューされた。

最先端の治療を受けている患者を含め、がん治療関連骨減少症(CTIBL)への対応が急務であることを強調している。

IOF Bone and Cancer Working Groupのメンバーであり、レビューの最終かつ責任著者であるCyrille B.Confavreux教授は次のように述べた:「免疫チェックポイント阻害薬などの抗がん免疫療法や、チロシンキナーゼ阻害薬などの標的治療薬の登場により、がん治療は過去10年間で大きく進歩した。その結果、多くの患者が長期にわたる寛解と治癒を経験している。これは、より多くのがん患者が骨の脆弱症や骨折リスクの増加など、新たな長期的課題に直面していることを意味する」

本論文では、現在使用されている主な抗がん剤(新規薬剤を含む)の骨への影響について簡潔にレビューし、薬剤カテゴリー別に、既知の細胞への影響、骨密度(BMD)への影響、骨折発生率について論じている。

 

重要なメッセージ:

・ グルココルチコイド、ホルモン療法、血管新生阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬などの薬剤は、骨密度 (BMD)、骨折リスク、骨細胞機能に対してさまざまな程度の有害な影響を示す。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)やプロテアソーム阻害薬のように薬剤によっては骨を保護する効果がより高いものもある。

・ デキサメタゾンなどの薬剤を短期的または高用量で断続的に使用すると、とくに高齢者や小児がん患者などの脆弱な集団では骨が著しく弱くなり、骨折のリスクが大幅に増加する可能性がある。

・ 免疫療法は、これまで治療不可能だったがんの治療に効果があると称賛されていたが、現在では骨折率上昇や骨のリモデリングの阻害につながることがわかっている。

・ 著者らは、骨密度や骨折リスクに関するヒトのデータが不足、または不明なため、新しい抗がん剤の骨安全性プロファイルを評価するための臨床試験の緊急性を強調している。

・ ビスホスホネートやデノスマブなどの骨吸収抑制薬は骨量減少の緩和に効果があるとされているが、とくにアンドロゲン除去療法を受けている男性や乳がん治療でアロマターゼ阻害薬を投与されている女性では十分に活用されていない。

 

IOF Bone and Cancer Working Group議長のRené Rizzoli教授は、次のように述べている。「今日のがん治療は生存率を大幅に向上させたが、骨粗鬆症や人生を一変させる脆弱性骨折のリスク増加という隠れた代償を伴う」

「このため、われわれは腫瘍専門医、内分泌専門医、一般開業医を結集し、骨折リスクの高い患者に対して早期スクリーニングと積極的な骨保護戦略を確実に実施する学際的アプローチを強く提唱している」

 

https://ecancer.org/en/news/26602-new-review-highlights-bone-health-risks-linked-to-modern-cancer-treatments

(2025年6月23日公開)

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