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09 Sep 2025
「血液がん患者は、特に疾患の初期段階や、造血幹細胞移植のような強力な免疫抑制療法の施行中および施行後に、呼吸器感染症にかかりやすい」と、Marie von Lilienfeld-Toal氏は述べている。
「健康な人であれば些細だと考えられる多くの感染症も、この集団ではより危険である。たとえばインフルエンザ感染症では、致死率が10%に達し、さらにウイルスを排出する期間も長引く」このリスク増加はSARS-CoV-2においても明らかであり、患者はワクチン接種による防御効果も十分ではなかった。
治療内容によっては、患者は特に感染症にかかりやすい状態がおよそ1年間も続く。
ガイドラインを改訂するために、チームは2014~2024年にかけて発表された最新の専門文献を解析した。
対象となったのは、血液悪性腫瘍(血液がん、HM)および/または造血細胞移植を受けた患者におけるアデノウイルス、ボカウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、メタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)、ライノウイルスに関する文献であった。
「現在の推奨事項では、SARS-CoV-2を含む検査室診断におけるこうした感染症管理の一般的なアプローチと、SARS-CoV-2以外の呼吸器感染症に対する特定の感染症管理戦略について概説している」と、Marie von Lilienfeld-Toal氏はまとめている。
小児に対するワクチンおよび特別な推奨事項
インフルエンザウイルス予防には、季節性の不活化ワクチンの接種と早期の抗ウイルス療法が推奨されるが、専門家は一般的な抗ウイルス薬の予防投与は推奨していない。
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)については、地域での承認状況に応じて承認済みワクチンの使用が検討される場合があるが、白血病患者に関するエビデンスは限られている。
パリビズマブまたはニルセビマブによる受動免疫は2歳未満の小児に推奨されるが、年長児や成人患者に対する曝露前・曝露後の予防投与または治療に関するデータは不十分である。
造血幹細胞移植後に重度の免疫不全を呈する患者に対しては、リバビリンおよび/または静注免疫グロブリンの投与がガイドラインで推奨されている。
その他の呼吸器感染症に対しては、免疫機能の改善や抗体欠乏の是正を目的とした支持療法のみ利用可能である。
これには、コルチゾンを含む薬剤の投与を可能な限り減らすことも含まれる。
「エビデンスの空白は主に予防接種および抗ウイルス療法の分野に存在する」と、Marie von Lilienfeld-Toal氏は述べている。
主治医、家族および患者に対する推奨事項
これらの推奨事項は、白血病患者を治療するすべての医療従事者に関連する。
ウイルス性呼吸器感染症は環境由来であることが多いため、専門診療施設だけでなく、外来診療やプライマリケアの現場においても重要である。
この情報は家族の介護者にも有用であり、また通常は主治医から整理された形でこのような情報を得る白血病患者自身にも役立つ。
https://ecancer.org/en/news/26951-guideline-on-respiratory-infections-in-leukemia-revised
(2025年8月29日公開)