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06 Oct 2025
脳腫瘍、特に神経膠腫は、依然として診断・治療が困難である。
画像診断報告は腫瘍の大きさや形状、進行度に関する非侵襲的な知見を提供できる一方、病理診断報告は細胞学的および分子学的特徴に関する決定的な証拠を提供する。しかし、これら二つの情報源が統合されていないことが、臨床判断を複雑化させている。
Brown UniversityのDepartment of Radiologyおよび Brown University HealthのDr. Zhuoqi Ma(MD)氏が率いる研究チームは、この課題を克服するため、事前学習済み大規模言語モデルを活用し、画像診断報告と病理診断報告を統合するパイプラインを構築した。
426例の患者を対象としたサンプルにおいて、本システムは腫瘍の存在に対して0.849、腫瘍の安定性に対して0.929というマイクロF1スコアを達成し、いずれも従来の単一情報源による方法を10%以上上回った。
「大規模言語モデル(LLM)は複数領域の情報を統合し、腫瘍の状態についてより包括的な全体像を示すことができる」とMa氏は述べている。
「これは診断精度を高めるだけでなく、追加の学習を行わなくても生存転帰を予測できるようにする」
研究チームはさらに、膠芽腫患者の独立したコホートでこの手法を検証した。
本モデルによる予測、特に腫瘍の安定性に関するものは、高リスク群と低リスク群を有意に識別した(p=0.017)。その予後予測価値は、MGMTメチル化状態といった確立されたバイオマーカーに匹敵するものであった。
これらの知見は、大規模言語モデル(LLM)に基づく統合が診断の不確実性を低減し、神経腫瘍学におけるより個別化された治療戦略を支援する可能性を示している。
本研究は、KeAi発行のMeta-Radiology誌に掲載されており、臨床腫瘍学における複数情報源統合の将来的な研究の基盤を築くものである。
「MRI画像やゲノムプロファイルなどのモダリティを加えることで、このアプローチは予測力をさらに高め、精密がん医療への進展を加速させる可能性がある」とMa氏は付け加えている。
(2025年9月24日公開)