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06 Nov 2025
ECOG-ACRIN Cancer Research Group (ECOG-ACRIN)による新たながん臨床試験の結果、体の免疫系を利用してがん細胞を標的化し排除する薬剤が、手術直後に投与された場合、進行性皮膚がんにおける遠隔転移リスクを低減させることが示された。しかし、試験の主要評価項目の一つであった全体的な再発リスクを有意に低減させることはなかった。
ランダム化第III相STAMP試験(EA6174)は、腫瘍切除後のメルケル細胞がんに対する術後補助療法として、抗PD-1療法であるペムブロリズマブを評価する、これまでで最大規模の臨床研究である。
STAMP試験では、ペムブロリズマブを投与された患者では、2年後の時点で73%が再発を認めなかったのに対し、投与されなかった患者では66%であった。
統計学的に有意な差は認められなかったが、ペムブロリズマブを投与された患者では、肝臓、肺、骨などの臓器への遠隔転移(がんの転移)の発生リスクが42%低下した。これは本試験の副次評価項目であった。
「STAMP試験は、手術後のペムブロリズマブによる免疫療法が、原発部位から離れた臓器への再発を防ぐことで、メルケル細胞がん患者に有益である可能性を示す初めてのエビデンスを提供する」と、主任研究員のJanice Mehnert(MD)氏は述べた。
Mehnert(MD)氏は、ECOG-ACRIN Melanoma Committeeの共同委員長であり、NYU Langone Health’s Perlmutter Cancer CentreのMelanoma and Cutaneous Medical Oncologyの部門長でもある。
「これは、極めて進行性の高いがんであるメルケル細胞がんと闘っている患者にとって、待望の朗報である」とDr. Mehnert氏は付け加えた。
メルケル細胞がんは皮膚の感覚受容細胞から発生する増殖速度の速いがんで、日光に曝される部位に、無痛性の単発性結節として現れることが多い。
皮膚がんは米国で最も一般的ながんであるものの、皮膚原発の神経内分泌腫瘍とも呼ばれるメルケル細胞がんは極めて稀で、年間発症率は100万名当たり3名未満にとどまる。
このがんは極めて進行性の高いがんであり、診断から5年後生存している患者は半数未満である。
第III相多施設共同試験(NCT03712605)は、2018~2023年にかけて実施され、腫瘍が外科的に切除された293名の患者が参加した。
このうち147名は手術後にペムブロリズマブの点滴投与を受ける群に無作為に割り付けられ、146名は追加の薬物療法を行わず経過観察のみとされた。一部の参加者は主治医の判断により放射線療法を受けた。
メルケル細胞がんは稀少がんであるため、このような大規模の臨床試験に患者を登録するには、全国的な共同体制が不可欠であるとMehnert氏は強調した。
詳しくは、こちらの動画をご覧ください。
(2025年10月20日公開)