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20 Nov 2025
多施設共同臨床試験の新たな結果によれば、免疫療法薬ニボルマブとイピリムマブを併用することで、進行した治療困難ながん患者において治療効果が有意に改善することが示された。
健常細胞は通常、自らのDNAの誤りを修復することができる。
ミスマッチ修復欠損(dMMR)細胞では、DNAの誤りが修復されず、遺伝子変異が蓄積し、これがマイクロサテライト不安定性(MSI-H)と呼ばれる状態となる。
このことにより、がんが発生する可能性があり、一般的には子宮、大腸、胃に多く、その他の臓器系では稀にみられる。
これらのがんは、ゲノム不安定性のためにしばしば進行期で発見され、化学療法に反応しにくい。
したがって、ミスマッチ修復が正常な機能を有するがん患者と比べて、予後は不良である。
MoST-CIRCUIT試験は、オーストラリアおよびニュージーランドの17病院で実施されており、二つの免疫療法を併用することで、大腸以外のdMMR/MSI-Hがんにおける治療反応を高められるかどうかを検討する世界で初めての試験である。
本試験は、La Trobe University の School of Cancer Medicineとして提携しているOlivia Newton-John Cancer Research Institute(ONJCRI)が後援している。
注目すべきことに、本試験では、治療により腫瘍が縮小または消失した患者の割合である客観的奏効率(ORR)は63%に達し、さらに治療後6ヵ月時点で71%の患者に腫瘍の進行が認められず、治療効果が長期間持続することが確認された。
対照的に、単剤による免疫療法(モノセラピー)では、dMMR/MSI-Hがん患者の約3分の1にしか、持続的な治療効果が示されていない。
主任研究者であるOliver Klein准教授(ONJCRI の Clinician-Scientist)は、この結果は希少がん患者にとって大きな進展を示すものであると述べている。
「本研究は、この併用療法が単剤療法と比較して、これらの生物学的に悪性度の高いがんの予後をさらに改善し得ることを示した初めての研究である」と、Klein准教授は述べている。
「試験参加者のがんの約3分の2が治療に反応しており、また、これらの反応の質と持続性を考慮すると、多くの患者は転移性疾患であったにもかかわらず、がんが治癒した可能性が高い」
これらの結果は時宜を得たものであり、Pharmaceutical Benefits Advisory Committee(PBAC)が、希少悪性腫瘍を含む進行がんに対して、ニボルマブおよびイピリムマブのがん種横断的アクセスを推奨しており、Pharmaceutical Benefits Scheme(PBS)への収載は承認待ちとなっている。
固形腫瘍全体におけるdMMR/MSI-H変異の世界的な有病率は約2.9%である。
これらのがんは稀ではあるものの、オーストラリアでは毎年、治療困難な腫瘍が数千例診断されており、より良い治療選択肢を緊急に必要とする数千人の患者が存在する。
「オーストラリアでは、希少がんや比較的稀ながんと診断された人々には、研究や知識の不足により、大きな格差が存在している。その結果、多くの場合、命を縮めるような結果につながってしまう」と、Rare Cancers Australia の CEO である Christine Cockburn氏 は述べている。
「希少がん患者にとって、臨床試験は極めて重要である。本研究の結果は、希少がん患者に対する精密医療に基づくがん治療と免疫療法の大きな可能性を示している。今回の新たな研究は、dMMR/MSI-H変異を有するオーストラリア中のがん患者に希望をもたらすものであり、従来はほとんど得られなかったような希望をもたらすものである」
「われわれは、希少がん治療の極めて重要な転換期にいる。このような研究がさらに増え、政府がニボルマブおよびイピリムマブのがん種横断的なPBS適用を検討していることを踏まえると、より多くの患者が、がんを超えて生きるための公平な機会を得られるような、大きな変化が現実になろうとしているところである」とCockburn氏は結んでいる。
本試験の結果はJAMA Oncology誌に先行公開されており、この知見の重要性を強調する論評が掲載されている。
(2025年11月17日公開)