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e-cancer:血液がん ASH 2025:研究者らが節性T細胞リンパ腫の1病型に対する潜在的バイオマーカーとしてCD40を同定

22 Dec 2025

University of Texas MD Anderson Cancer Centerの研究者らは、節性T細胞リンパ腫の1病型である血管免疫芽球性T細胞リンパ腫 (AITL) における複雑な微小環境の特徴を明らかにし、CD40タンパク質の過剰発現を全生存期間 (OS) の改善と関連する潜在的なバイオマーカーとして同定した。

本研究は、血液病理学教授であるFrancisco Vega博士(M.D., Ph.D.)およびgraduate research assistantであるTania Sainzによって主導された。

CD40発現のデジタル解析は、放射線腫瘍学の博士研究員であるPirmin Schlicke博士(Ph.D.)が補佐を担当した。

Sainz氏は、本日、第67回American Society of Haematology (ASH) 年次総会で本研究結果を発表した (Abstract 555)。

「潜在的なバイオマーカーとしてのCD40の過剰発現の発見は、患者リスクを評価するための新たな視点をもたらし、特に、OSの予測に現在利用可能なバイオマーカーが存在しないことを踏まえると、この困難な疾患における治療成績を改善しうる治療戦略への道を開くものである」と、Sainz氏は述べた。

AITLとは何か、また本研究はいかに疾患の理解を深めるのか

AITLは、濾胞性ヘルパーT細胞 (TFH細胞) に由来する非ホジキンリンパ腫の1病型であり、リンパ節および骨髄に病変を来たし、また場合によっては、肝臓や脾臓にも及ぶ。

AITLは、腫瘍性のTFH細胞が比較的少なく、免疫細胞が優勢な複雑なリンパ腫微小環境内で発生するため、診断の遅れや誤診、治療反応性の不良につながることが多い。

研究者らは、単一細胞RNAシーケンシング (scRNAseq) と、連続免疫蛍光法であるCOMETを併用した。

scRNAseqは、個々の細胞レベルで遺伝子発現を測定し、希少な細胞型の詳細な解析と免疫細胞の進化を追跡することを可能にする。

COMETは、これらの検体に含まれる細胞型特異的マーカーの同定をさらに裏付けた。

このアプローチを通じて、研究者らは複雑なAITL微小環境内の潜在的なバイオマーカーの解明に取り組んだ。

本研究の主要な知見は何か

研究者らは、AITLの一部において、腫瘍性濾胞性ヘルパーT細胞が、FOXP3などの制御性T細胞と典型的に関連する遺伝子の発現増加を示し、これらの細胞が濾胞性制御性T細胞のプログラムを獲得している可能性を示唆した。

14例のAITLリンパ節および3例の反応性リンパ節由来細胞の解析においても、2つの異なる微小環境が認められ、いずれも特定の部位でCD40タンパク質の発現が上昇していた。

さらなる解析により、CD40の発現上昇は、患者由来異種移植リンパ腫検体においても認められることが示された。

これらの知見は、AITLにおける腫瘍性濾胞性ヘルパーT細胞が、その表現型を変化させることを可能にする適応的特性を有していることを示唆している。

この生物学的多様性が、AITLで認められる診断上の課題の一因となっている可能性がある。

濾胞性制御性T細胞の表現型が報告されたのは今回が初めてであり、今後はこれらの症例の臨床病理学的特徴と、この表現型の発生頻度を明らかにすることが重要となる。

加えて、CD40の過剰発現は、患者リスクを特定し、治療反応性のモニタリングを改善するための潜在的なバイオマーカーとなる可能性がある。

潜在的な治療戦略の一環としてCD40経路を標的とすることを検討するためには、さらなる研究が求められる。

 

https://ecancer.org/en/news/27393-ash-2025-researchers-identify-cd40-as-potential-biomarker-for-a-type-of-nodal-t-cell-lymphoma

(2025年12月9日公開)

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