ニュース
10 Feb 2026
乳がんにおいて、生検は疑わしい腫瘤や領域ががん性であるかどうかを確定できる唯一の診断手法である。しかし米国では、乳房生検の75%~80%は良性である。
Washington University in St. LouisのMcKelvey School of EngineeringでEdwin H. Murty工学教授を務めるQuing Zhu教授、およびBarnes-Jewish Hospitalのウィメンズヘルス領域Ronald and Hanna Evens Endowed Chairであり、Washington University in St. LouisのMallinckrodt Institute of Radiology (MIR)において乳房画像検査の主任を務めるDebbie Bennett医学博士が主導する研究チームは、患者226名を対象に、超音波ガイド下拡散光トモグラフィー技術を活用した二重盲検臨床試験を実施し、良性乳房生検率の低減が可能かを評価した。
本研究では、本技術の使用により、不要な乳房生検を約25%低減し、また偽陰性率は2%未満と低いことが明らかになった。これは標準治療生検判断リスクに関するAmerican College of Radiologyのガイドラインの範囲内である。
研究結果は Breast Cancer Research誌オンライン版に掲載された。
本研究は、National Institutes of HealthのNational Cancer Instituteによる約200万ドルの助成を受けて実施された。
Zhu教授らのチームは、近赤外線を用いて組織の3次元画像を作成する非侵襲的イメージング技術を開発した。この技術は、血管のコントラストや酸素レベルといった正常組織とがん組織の機能的な相違を明らかにする。
この技術を標準治療である超音波評価と組み合わせ、生検に関わる低リスク乳房病変を有意に選別することができる。
米国では毎年100万件以上の乳房生検が行われおり、生検の25%低減は、医療費と患者の不安の抑制にきわめて大きな影響をもたらすとZhu教授は述べている。
「拡散光トモグラフィーは、組織内で光が散乱するため解像度が低くなるが、超音波による位置特定により、この不確実性を回避し、拡散光トモグラフィーの制度を向上させる」と、Zhu教授は述べた。
またZhu教授は、本研究は拡散光イメージングの分野において、多数の患者と複数の放射線科医が関与した、初めての研究であると述べている。
「放射線科医は解析結果を知らなかったが、標準治療に基づいて各患者のリスク評価をし、生検の要否を判断した」と、彼女は述べた。
「その後、放射線科医はわれわれが作成した乳房病変のヘモグロビンマップと酸素飽和度のデータを用いて、生検判断に関する病変のアップグレードまたはダウングレードを行った」
研究チームは、悪性の可能性がある乳房病変を有する患者226名を対象に、標準的な超音波ガイド下生検の前に、超音波ガイド下拡散光トモグラフィーによる撮影を行った。
放射線科医は、超音波ガイド下拡散光トモグラフィーによって得られた総ヘモグロビン濃度マップと血中酸素飽和度を生検判断の再検討をするために用いた。
赤血球によって運ばれるヘモグロビンは近赤外線を吸収する。ヘモグロビン濃度が高いほどがんの疑いは高まる。
血中酸素飽和度、つまり血液中の酸素量は、腫瘍の代謝を示すもう一つのバイオマーカーである。血中酸素飽和度の低下は、がんの疑いを示す。
研究者らは、悪性腫瘍患者の総ヘモグロビン濃度は、すべての良性病変よりも有意に高いことを発見した。また、血中酸素飽和度は、良性病変よりも悪性病変において有意に低かった。
さらに、総ヘモグロビン濃度はgrade3のがん病変においてgrade1および2よりも有意に高く、その一方で、血中酸素飽和度は有意に低かった。
2cm未満のがん病変の血中酸素飽和度は、2cm超のがん病変のそれと有意差はなかったが、血中酸素飽和度は両群間で有意に異なっていた。
合計で、浸潤がん70例、非浸潤性乳管がん7例、高リスク病変9例、および良性病変140例であった。
超音波ガイド下拡散光トモグラフィーから得られた総ヘモグロビン濃度と血中酸素飽和度を、放射線科医による分類評価と統合することで、不要な良性生検数が24.54%減少した。
Zhu教授は、システムコストをさらに削減し、データ処理、画像再構成、デュアルモダリティに基づく病変診断のために開発されたAIツールを最適化することで、臨床現場で使用できるよう本技術の商業化を目指していると述べた。
https://ecancer.org/en/news/27657-imaging-technique-can-reduce-benign-breast-biopsies-by-25
(2026年1月22日公開)