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ecancer : 全般 : 分子標的薬の加熱により腫瘍細胞への取り込みが増加する

09 Mar 2015

マンチェスターの科学者らは、低温加熱したナノサイズの標的薬がより効率よく腫瘍細胞に届くことを、生存率の改善結果により発見した。

がん化学療法薬のデリバリーにおいて臨床的に確立した方法の一つは、リポソームとして知られるナノサイズの構造体内部に薬剤を封入することである。

これにより、薬剤をがん組織に効率よく局所デリバリーすることが可能となり、リポソームに封入できる最大量の薬剤を健康な細胞へ取り込むことで副作用が減少した。

これらのリポソームの有効性は、リポソーム表面にがん細胞を特異的に認識する分子(モノクローナル抗体)を結合させ、低温加熱により効率的に薬剤を放出させる処理を行うことで、さらに改善されつつある。

Manchester Cancer Research Centreの一部であるUniversity of ManchesterのNanomedicine Laboratoryの研究者は、特異的な認識機能(アクティブターゲティング)と、温度による誘導放出(temperature-triggered release)の併用の有益性を見出した。

当研究の主任であるKostas Kostarelos氏は、「われわれはこれまで、シャーレー上でこの併用アプローチによる有益な結果を見てきた。しかし、生体組織においてはまだ確認していない」と述べた。

この研究チームは、がん細胞を特異的に認識するリポソームとしないリポソームを比較した。

その結果、マウスにおいて低温加熱を併用することで、特異的に認識するリポソームでは、認識しないリポソームに比べて腫瘍組織への取り込みが増加した。

この結果は、生物界における生存率の緩やかな改善をもたらした。

「われわれは、加熱活性し、特異的に認識する抗体を結合したリポソームの開発に成功し、化学的そして構造的に安定していることを示した。このアプローチは、正常な細胞をなるべく使わないで標的薬のデリバリー効率を改善して腫瘍組織内に放出する、新たなメカニズム戦略の開発に役立つ可能性がある」と、Kostarelos氏は続けた。

参考: Z S Al-Ahmady et al. ‘Monoclonal antibody-targeted, temperature-sensitive liposomes: In vivo tumor chemotherapeutics in combination with mild hyperthermia’, Journal of Controlled Release, Volume 196, 28 December 2014, Pages 332–343

http://ecancer.org/news/6981   
(2015年2月12日公開)

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