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ecancer : 全般 : ゲーム理論は、がん細胞の社会的相互作用を説明

09 Mar 2015

University of Baselとthe University of East Angliaの研究者らが、ゲーム理論を用いてがん細胞の相互作用の予測を可能にした。

この結果は、PNAS誌で発表された。

腫瘍は、たがいにスペースや栄養素を奪い合う不均一な個別細胞集団からなる。

しかしながら、がん細胞もまた、成長因子など分子を共有することで生存争いに協力する。

成長因子を自ら産生しない細胞は増殖優位性をもつ。なぜならそれらの細胞は、お金をかけずに隣接細胞によって産生された因子を使用することができるからである。

腫瘍細胞間の協力関係を維持させている原因は未解決のままであり、それは腫瘍増殖を標的とした薬物療法を妨げ続けている。

フリーライディングがん細胞(Free riding cancer cells)

Public Goods Gameはゲーム理論の一部であり、公益の提供について分析するモデルとして経済学に使われている。

物品を提供し、その生産費用を支払う者と、そして費用は払わないが結局消費はする者の間で、これらの物品の消費高は不均衡である。すなわち、フリーライダー(free rider)問題として経済学で知られている状況である。

研究者らは、このモデルを、がん細胞集団の産生性そして非産生性メンバー間における協力にあてはめた。このモデルが、発がん現象などの生物学的過程にも当てはまるかを研究するためである。

コンピュータシミュレーションを用いて、研究者らは、産生細胞と「フリーライド(free ride)」細胞間の長期均衡を計算することができた。

そして、彼らの計算を検査するために、膵臓がん細胞を用いて実験を行った。

これらの結果は、ゲーム理論モデルの予測と一致した。

「生物学的プロセスが、コンピュータシミュレーションを用いて予測可能であることを発見したことに加え、これらの結果は、がん細胞間の「社会的」相互作用におけるさらなる活動が、がんの原動力に関するさらなる洞察を明らかにするかもしれず、願わくば、斬新的で安定した治療法に向けた研究を導くかもしれないことを示唆する」と、Department of Biomedicine of the University of Basel の教授であるGerhard Christofori氏は述べた。

参考:Marco Archetti, Daniela A. Ferraro, Gerhard Christofori, Heterogeneity for IGF-II production maintained by public goods dynamics in neuroendocrine pancreatic cancer, PNAS, vol. 112 no. 6

http://ecancer.org/news/6989
(2015年2月13日公開)

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