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24 Jun 2015
無作為化第III相試験により、早期口腔がん患者のための頸部リンパ節手術の至適時期について、長年の疑問が解決された。
選択的頸部郭清術(elective neck dissection=END)として知られる予防的アプローチの方が、結節型の発生時に行う治療的頸部郭清術(therapeutic neck dissection=TND)と比較して生存率を改善させ、再発率を低下させることが示された。
口腔がんは、世界中で30万人以上の人々が関連しており、タバコの喫煙率が高い国では一般的な疾患である。
たばこの喫煙や過度のアルコール消費率は、口腔がん診断において90%を占めると推定される。
早期口腔がんは多くの場合、腫瘍を除去する手術で治癒され、それが再発し、首のリンパ節に転移する可能性がある。
医師らは、周辺リンパ節の除去が一次口腔がん手術時に必要か(END)、もしくは再発する至適時期まで待機するべきか(TND)という議論を、長い間続けてきた。
「われわれの研究は選択的頸部郭清術(END)により生存率を高める可能性を初めて証明したものである。これは、医師らが50年以上求めてきた疑問への答えであり、数千人の患者の治療につながる」と、筆頭著者であるインド、Tata Memorial Centre、Department of Head and Neck Surgeryのチーフで教授のAnil D’Cruz氏は述べた。
「この研究の結果を基に、医師らは、初期治療として頸部手術を行うことは価値があることを、自信を持って患者に助言することができる」
この試験は、2004年から2014年の間、Tata Memorial Centreで行われ、早期口腔扁平上皮がんを有する596名の患者を無作為にENDまたはTNDへ割り当てた。
最初の500名の患者の中間解析では、ENDがTNDに比べて死亡リスクが37%有意に高いことが示された。
ENDは3年全生存率において12.5%(80% vs 67.5%)有意に高いことが示された。
ENDはまた、3年無病生存率において23.6%(69.5% vs 45.9%)有意に高いこと、再発または死亡リスクにおいて56%低いことが示された。
この疾患に対してENDを標準治療として確立した場合、要するに、選択的頸部郭清術(END)を受けた15名未満の再発患者に対して、8名未満が死亡することになる。
著者らによると、頸部郭清術の欠点は、頸部のリンパ節除去の手順は、5%から40%の患者に肩機能不全を伴う可能性がある。
これは、大規模な筋肉に肩運動を供給する神経が、切開部位を横断しているためである
今後の研究では、この合併症を最小限に抑えることができる技術に焦点を当てるべきである。
今まで、初期口腔がんにおいて頸部廓清術を主張する臨床診療の強い推薦がなく、世界的に診療が非常に変わりやすかった。
本研究では、最終的に選択的頸部郭清術(END)が早期口腔がん患者の標準治療であるべきだと示唆する。
筆頭著者へのinterviewとpress conferenceはこちら。
http://ecancer.org/news/7347
(2015年5月31日公開)