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24 Jun 2015
連邦政府資金による第III相試験により、認知機能のアジュバント全脳照射(WBRT=whole brain radiation therapy)の影響に関する長期論争に対し、追加情報が発表された。
1~3個の小さな転移性脳腫瘍に対する放射線治療後に続けてWBRTを受けた患者は、放射線治療のみを受けた患者よりも認知機能の低下がみられる。
さらに、WBRTは転移性脳腫瘍を制御したにもかかわらず、患者の生存期間は有意に延長しなかった。
毎年、米国にてがんと診断される65万人が転移性脳腫瘍を起こす。
これらの患者のうち少なくとも20万人は、疾患経過中に、アジュバント、サルベージ、または末期治療としてWBRTを受ける。1
少数の転移を有する患者は、放射線治療、すなわち脳腫瘍領域に正確に放射線を照射させる一種の放射線療法、を受ける傾向にある。
脳転移腫瘍は、限られた少数派の患者においてのみ、従来の手術で切除される。
「われわれは、以前は早い段階で全脳照射を施したが、今日ではこの治療の毒性が脳におけるがんの増殖や再発よりも悪いことがわかった」と、研究著者であるロチェスター、Mayo Clinic の腫瘍学教授、Jan C. Buckner氏が述べた。
「われわれは、その慣例が救済治療と末期緩和ケアのために全脳照射実施を保留するよう替わることを期待する」
研究では、213人の患者を、放射線治療群または放射線治療後にWBRTを受ける群に無作為に振り分けた。
全患者は、幅3センチまでの1~3個の小さな転移性脳腫瘍を有していた。
3か月の時点で、より多くの患者において、放射線治療群では64%に比べてWBRT群では92%と、認知機能の低下がみられた。
具体的には、WBRT群と放射線治療群は、即時想起において30%対8%、遅延再生において51%対20%、口頭コミュニケーションにおいて19%対2%の低下がみられた。
この研究よるQOL解析はまだ完了していない。
全生存率について、2つの治療群間で統計的な有意差はみられなかった。
脳転移はがん治療においてよく見られる合併症であることから、この研究結果は、腫瘍学の実践に大きな影響をあたえたと、著者は述べる。
特に、メラノーマ、肺がん、乳がんおよび結腸がんは、多くの場合、脳に転移する。
膀胱がん、腎臓がんおよび婦人科がんもまた、転移性脳腫瘍を引き起こす。
Buckner氏は、「アジュバントWBRTは転移性脳腫瘍を手術で切除した患者に対する選択肢の1つではあるが、転移性脳腫瘍を切除した患者に対する治療としてWBRTと定位的放射線治療を比較する、進行中のNCCTG(Alliance)試験は、最終的にどの治療アプローチがより良好かを決定するであろう」
と述べた。
参考:1. Rapp SR, Case LD, Peiffer A, et al. Donepezil for irradiated brain tumor Survivors: A Phase III randomized placebo-controlled clinical trial, J Clin Oncol 33:1653-1659, 2015.
Buckner氏へのinterviewとpress conferenceはこちら。
http://ecancer.org/news/7349
(2015年5月31日公開)