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06 Jul 2015
プロトンポンプ阻害薬は、様々な健康状態のために成人が使用する一般的な制酸薬の一種である。しかしながら、新しい試験によれば、それらの使用には気をつける必要があるかもしれないことを示唆している。
プロトンポンプ阻害薬は、世界で最も一般的に処方され、薬局でも購入できる薬の一つである。
しかし、H2阻害薬として知られる制酸薬の異なるタイプは、心臓発作のリスク上昇とは関係がなかった。
プロトンポンプ阻害薬は、GERDやHelicobacter pylori 感染を含む、様々な症状を治療するために頻繁に処方されている。これらの薬剤の名前は、例えば、ランソプラゾールとオメプラゾールで、末尾には必ず “prazole” がつく。
2009年には、米国で、最も使用された薬の種類であり、FDAは14人に一人がそれらを使用したと見積もっている。しかしながら、時間とともに、専門家らはその薬の安全性に疑問を持ち始めた。
専門家らは、当初、プロトンポンプ阻害薬は薬の相互作用によって起こるリスクを考慮して、抗血小板薬クロピドグレルを使用していた冠動脈性心疾患患者に対してのみリスクがあると考えていた。しかしながら、最近の研究では、そのリスクはさらに拡大する可能性があることを示した。
我々の前の研究では、プロトンポンプ阻害薬が、血管のテフロンのようなライニングである内皮に悪影響を及ぼす可能性があることを確認した。
PLOS ONEに掲載された研究では、Houston MethodistとStanford Universityの研究者らは、心臓発作のリスクをプロトンポンプ阻害薬を使用している患者と他の種類の胃薬を使用している患者と比較した。
データは、約290万人の患者の1,600診療文書から集計された。これらの文書は二つのデータベースから得られた。一つは、Stanford Translational Research Integrated Database Environment (STRIDE) 、もうひとつは、電子カルテの会社Practice Fusionである。
プロトンポンプ阻害薬はH2阻害薬とは異なり、心臓発作のリスクに関係がある。
研究者らは、プロトンポンプ阻害薬、またはH2阻害薬のような他の同じような薬を処方されたと報告した患者に対する、これらのデータベースから情報を抽出し、これらの患者が同様に心臓発作のような深刻な心血管系イベントを経験したかどうかを見た。
Cimetidineや ranitidineのようなH2阻害薬は、制酸薬の他の種類である。プロトンポンプ阻害薬のようではなく、それらは心臓発作や心血管系疾患のリスク上昇とは関係がない。
「逆流性食道炎に対して主に使われるプロトンポンプ阻害薬を投薬され、心疾患の病歴のない患者からのデータを調べることで、我々のデータマイニングパイプラインが心臓発作のより高いリスクとの関係を示唆している」と、主要著者で、スタンフォードの生物医学情報学準教授であるNigam H. Shah氏は述べた。
「我々の結果は、プロトンポンプ阻害薬が一般人口における心臓発作のリスクの上昇と関係があるようにみえることを示した。そして、H2阻害薬はそのような関係がないことも示した」
本研究に使用された観察データは、様々な方法で影響を受けやすいので、研究者らは、プロトンポンプ阻害薬がさらに多くの患者に対して害があるかどうかを確認するために、さらに信頼性が高く、規模の大きい、無作為化試験を実施することを望んでいる。
「我々の報告が、薬局で購入でき、かつ世界で最も一般的に処方されている薬のひとつである、これらの薬が、以前考えていたほど安全ではない可能性があるという懸念を引き起こしている」
と、Stanfordの血管医学の専門家、Nicholas J. Leeper氏は結んだ。
以前、MNTは、脳卒中、心臓発作、と死亡リスクは握力によって予知できる可能性があるという試験のついて報じた。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/295178.php
(2015年6月11日公開)