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25 Sep 2015
科学者らが同定した遺伝子“FOXC1”は、スイッチがONになると、急性骨髄性白血病(AML=acute myeloid leukaemia)における第5の悪性がんを引き起こすことが、Cancer Cell誌より発表された。
FOXC1遺伝子は通常、胚発生時にONとなり、眼や、腎臓、脳や骨など、細胞を専門組織に変えるための役割を果たす。
しかしながら、この新たな研究では、白血球と骨髄に影響を及ぼす一種の血液がんであるAMLを有する患者においては、この遺伝子が、がん細胞の中で不当にONとなることがわかった。
血液細胞組織内でONになると、FOXC1は血液細胞の発達を妨げ、通常の血液細胞の成長を阻止する。
成熟細胞よりも若い細胞の複製がより多く行われるため、悪性のがんを誘発することになる。そして、がん細胞の成長が加速し、治療がより困難になる。
英国では毎年約2900人がAMLと診断される。
そのうち約20%において、がん細胞内のFOXC1遺伝子がONになったと予測される。
筆頭著者であるUniversity of Manchester、Cancer Research UK Manchester InstituteのTim Somervaille氏は、「これは、急性骨髄性白血病が発症する方法、そしてAMLの一部のケースにおいて他より悪性になる原因の理解に役立つ、重要な発見である。欠陥や変異が原因ではなく、この正常な遺伝子が、誤った場所とタイミングでONになることにより、がんを急速に成長させてしまうのである」と述べた。
「この遺伝子が必要とされる、誕生前の眼や骨格の成長といった特定の状況がある。しかしながら、誤った組織内でONとなった場合、より悪性の白血病を引き起こす」
Cancer Research UKのシニア科学コミュニケーション部長であるNell Barrie氏は、「われわれが細胞のがん化過程についての基本生物学を研究し続けることは不可欠である。本研究にて、急性骨髄性白血病を悪性化させる特異的遺伝子の特定により、一部の患者に対する個別治療の新たな手段の手掛かりを得ることができた。われわれが各種がんの要点をさらに理解することで、それらのがんを阻止する新たな方法をより早く発見することができる」と述べた。
http://ecancer.org/news/7738
(2015年9月14日公開)