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ecancer : 肺がん : WCLW2015 : 臨床試験において脳転移患者が除外される実情

25 Sep 2015

非小細胞肺がんは、しばしば中枢神経系(CNS= central nervous system)に広がるが、CNS転移を有する患者は、新薬の臨床試験から除外されている可能性がある。

16th World Conference on Lung Cancerにおいて、University of Colorado Cancer Centerの研究が発表され、CNS転移患者は臨床研究にてほとんど研究の対象外とされていることが明らかになった。

その研究では、“ClinicalTrials.gov” サイトが調査対象となり、413試験を対象とした肺がんにおける非盲検試験 が特定された。結果として、41%が、CNS転移前治療のある患者のみを対象としたものであった。

CNSに関連し、前治療のない患者も含めた試験は26%であった。

14%において、脳転移の病歴を有する患者はすべて除外され、また、19%においてはCNSに関連するクライテリアについて、まったく記述がなかった。

臨床試験における複数のサブカテゴリーを考えた場合、試験のスポンサーが単一の場合、徹底してCNSを除外していること、また、スポンサーが大学である試験は、企業がスポンサーである場合に比べて、CNS患者を除外する傾向が少ないことが有意に示された。(ハザード比0.442、 p値=0.0342)

「一方で、新薬が他に有効であるが、脳には作用しない場合、未治療の脳転移患者を対象とすると、患者のリスクは上昇し、薬剤活性化の値は低下する」と、CU Cancer Centerの研究者であり、本研究の発表著者であるCaroline McCoach氏は述べた。

「しかし、一方で、われわれが脳に作用しない薬剤の試験においてCNS患者を含めない場合、
長期間にわたって薬剤効果を見出せず、利益を得る潜在患者を不適切に除外している可能性がある」

「徹底した排除の主な要因が試験のスポンサーであるという事実により、われわれの最新医療の一部は、おそらく科学的な正当性の普遍的な合意よりも、今までの習慣に基づいている可能性が示唆される」と、CU Cancer Center、Lung Cancer ResearchのJoyce Zeff Chairであり、本研究の上席著者であるD. Ross Camidge氏が述べた。

実際、この2年間、Response Assessment in Neuro-Oncology(RANO)グループすなわち国際専門家の会では、臨床試験で脳転移に取り組むより合理的なアプローチを構築するために開始した刊行物を推進している。

「McCoach氏の発表は、CNS疾患を有する肺がん患者が臨床試験においてどのような治療を受けているか、そして、RANOグループがたくさんの討論を行っているという現状を明らかにした」と、Camidge氏は述べた。

「われわれが本当に知りたいのは、脳内におけるその薬剤活性化について知られているかの有無、そして、実験的薬剤が開発段階である場合にそれがどれだけ先の内容であるかという、論理的で適切な事実に基づいた、CNSの包除基準を備えた合理的な臨床試験デザインである」と、Camidge氏は述べた。

「未治療のCNS患者に開発初期段階の薬剤を使用する、専用の臨床試験サブ研究に多く携わることができる理想の世界では、さらに研究すべきCNS信号が存在するかを見つけ、また、薬剤がCNSにて作用しそうにない場合に、リスク管理を適切なものにするため、その後の試験を修正する」

「たまには、われわれは間違いより学ぶべきである」と、McCoach氏は述べる。
「新しい種類の免疫療法薬を使用した多くの試験では、完全に脳腫瘍患者は除外される。それでも、新しいデータによると、CNSに対する反応には問題ないことがわかり、患者に関するこれまでの警告 と臨床試験での除外は、見放されるかもしれない」

「現在、脳治療は重要な闘いの真っ最中である。われわれが現在実施している試験が適切でないことを示すまでは、よりよい臨床試験デザインであるからといって、それを主張することはできない」

「この研究の目的は、あらゆる最新医療に注目し、正しい情報に基づいた議論が開かれることである」と、McCoach氏は結論を述べた。

http://ecancer.org/news/7721       
(2015年9月10日公開)

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