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01 Oct 2015
新しい世界的な研究で、高血圧、喫煙、高肥満指数(BMI)が世界の成人における死亡と疾病の危険因子のトップ3であることがわかった。5歳以下の小児では、回避可能な危険因子である低栄養が依然としてトップである。
研究リーダーで、University of Washington のInstitute for Health and Metrics Evaluation (IHME:シアトル、米国)の Mohammad Hossein Forouzanfar氏らが、Lancet誌に発表した。
研究者らは、Global Burden of Disease, Injuries and Risk Factor (GBD) 研究の1990年から2013年のデータを解析した。
新研究では、23年間の188カ国における、修正可能な79の危険因子に起因する死亡数、損失余命年数、障害を抱えた年数および障害調整生存年数を評価した。
研究者らは、年齢と性別によるこれらの回避可能なリスクファクターの影響も評価した。
高血圧により、死亡が50%近く増加する
全体では、評価した修正可能な危険因子による死亡は、1990年の25,100万人から増えて、2013年では30,800万人を占めた。
研究者らは、結果として、高血圧または高血圧症は、男性でも女性でも最も重大な死亡リスクであることを示した。高血圧を原因とする死亡数は、1990から2013年までで50%近く増加したことも見出した。
高血圧の現実
・米国では、約7,900万人が高血圧
・高血圧により、心臓発作、脳卒中、心不全のリスクが高まる
・高血圧患者の約50%しかコントロールできていない
しかしながら、高血圧は、女性より男性にとってはさらなる負担であることがわかった。本研究期間にわたって、女性に比べて、男性の高血圧に起因する死亡数は上昇し、2013年では、高血圧が、5,400万人の米国人男性の死亡に関係していた。
喫煙は、25%以上増加している習慣を原因とする死亡数の中で、男女両方の死亡率に対する影響としては、23年間にわたって、2番目であることがわかった。さらに、喫煙は女性より男性にとってさらなる負荷となっていることがわかった。喫煙による死亡は、2013年では男性4,400万人、女性1,400万人であった。
1990年から2013年の間で肥満による死亡は63.2%増加しており、高肥満度指数は、男女によって3番目の死亡リスクファクターであった。
研究者らは、高血圧、高肥満度指数、喫煙は、2013年では、男女ともに障害調整生存年数、または健康寿命年数にとって主要なリスクファクターであることを発見した。
死亡率における食事のリスクファクターの影響についての評価は、心疾患と糖尿病のような状態
を含めて、1990年から2013年までの、世界全体の死亡の21%における原因となる14個のリスクファクターの組み合わせを発見した。これらのリスクファクターは果物と野菜不足の食事と多量の赤身肉の食事と砂糖入り飲み物を含んでいた。
子供の低栄養は、いくつかの国では大きな課題である
研究者らは、子供の低栄養–栄養不足のために、発育阻害や筋委縮が見られる低体重の子供として定義—は、研究期間中の世界的死亡リスクトップ10からは外れたが、5歳以下の子供の主要死亡原因である。
研究結果によれば、2013年における5歳以下の子供1,300万人の死亡の原因である低栄養は、その年齢の全死亡の21.1%を占めている。低栄養が突出している国々は、チャド、南スーダン、コンゴ民主共和国、ソマリア、ニジェールであった。
「心疾患、肺疾患、糖尿病のような非伝染性の疾患の原因となるリスクファクターは、驚異的な伸展を示した一方で、子供の低栄養はいくつかの国々では依然として大きな課題である」と、Forouzanfar氏は述べている。
国ごとに最も修正可能なリスクファクターを評価した場合、いくつかの差異があると述べた。例えば、南アジアと東南アジアでは、世帯の汚染については、死亡の主要なリスクファクターであることがわかった。一方、英国や他の高所得国では、喫煙が死亡の主要リスクファクターであった。
最も突出した差異は、サハラ以南のアフリカで見られた。そこでは、子供の低栄養、アルコール摂取、危険な水と公衆衛生、危険な性行為が主要死亡原因として確認された。
研究者らは、危険な性行為は世界的な健康リスクになっており、本研究では、危険な性行為が、2013年のHIV/AIDSによる世界全体の死亡数の82.3%を占めており、そのほとんどが南アフリカで起きていたことも明らかにした。
Forouzanfar氏らは、これらの結果により、世界中の各国政府がリスクファクター予防プログラムに焦点を当てるべきだという明確な指示を提供していると述べた。
IHMEのディレクターで、研究共著者であるChristopher Murray氏は、以下のように追加した。
「大気汚染のような環境リスクに取り組むのと同様に、喫煙や貧弱な食生活のような特定のリスクを避けることによって、健康を改善できる可能性は極めて大きい。政策立案者にとっての課題は、予防への努力と健康政策を指導するために知るべきことを利用することであろう」
Medical News Todayは、6月に、Lancet 誌に掲載された、世界の人口の95%は、健康上の問題を少なくとも一つ持っていることを示した他の研究について報告した。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/299411.php
(2015年9月11日公開)