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MNT : 糖尿病 : 赤ワインが2型糖尿病患者に恩恵をもたらす

16 Nov 2015

Annals of Internal Medicine誌に発表された2年間にわたる研究における結果によれば、1日1杯の赤ワインが、2型糖尿病患者の心臓の健康を改善し、コレステロール管理を助ける可能性がある。

適度なアルコール摂取は、改善した心血管と全体の死亡率に関係があるとされてきた。そして、ヘルシーな食事の一環として、1日1杯の赤ワインは、しばらくの間恩恵があると考えられてきた。

適度な飲酒をする人の中では、2型糖尿病はあまり一般的ではないという証拠がある。しかし、長期間の無作為試験がないため、リスク便益のバランスは、そのような患者にとっては物議を醸している。

イスラエルのBen-Gurion University of the Negev-Soroka Medical CenterとNuclear Research Center Negevの研究者らは、アルコール代謝と遺伝子プロファイルにより、赤と白ワインの両方がグルコース管理を改善する可能性があるのではないかと考えた。

従来の研究では、エタノール(アルコール)がキーである、つまり、赤ワイン以外のアルコールドリンクは同じように恩恵がある可能性があることを示唆している。他の研究では、赤ワインは特に有利な特性を有すると主張している。

2型糖尿病の人々に対する恩恵の可能性

糖尿病の人々は、善玉HDLコレステロール値を下げるのと同様に、心疾患を発症するリスクが高い。HDLコレステロールは、コレステロールを吸収して肝臓へ戻すので、HDLコレステロール値が高ければ、心疾患と脳卒中のリスクを減らすことができる。         

糖尿病の真実
・米国では、2,910万人または人口の9.3%が糖尿病であるといわれている
・2,100万人が糖尿病と診断されている
・推計810万人が未診断とされている

2型糖尿病患者は適度なアルコール摂取を推奨されるべきか。 ADA(米国糖尿病学会)は
個人の判断に任せるとしている。また、AHA(米国心臓協会)はアルコール摂取については、医師と相談するよう勧めている。

研究者らは、 2型糖尿病患者が適度なアルコールを摂取したときの心血管代謝の効果がどのようなものか、かつどのようなタイプのワインが問題かどうかも見出したかった。

研究者らは、主にエタノールの化学成分のために、適度なアルコール摂取を開始することが心血管代謝リスクを下げると仮定した。彼らは、赤ワインと白ワインの同じような効果を予測した。アルコール代謝における遺伝子の変動性のために、ワインの効果はADH1B 遺伝子型に従って変化すると予測した。

224名の参加者は2型糖尿病ではあるがきちんと管理され、アルコールを控えている40歳~75歳の男女であった。

除外例は、週に1杯以上のアルコールを摂取している人、アルコール依存症の病歴がある人、1日2回以上インスリン注射をしている人であった。

遺伝子マーカー、血圧、肝臓バイオマーカー、投薬状況、症状、そして生活の質がベースラインにおいて測定された。

2010年6月から2012年5月まで、参加者らは、夕食時にミネラルウォーター、白ワインまたは赤ワイン150mlを摂取するように無作為に振り分けられた。ワインとミネラルウォーターは供給された。すべてのグループがカロリー制限なしの地中海料理を摂った。周期的に、血液検査、アンケート調査が実施され、グループセッションに参加した。

当初は、脂質と血糖管理所見が測定された。二次的項目として、トリグリセリド値、血圧、胴囲、遺伝子相互作用、投与状況、肝機能検査、生活の質の指標が測定された。

赤ワインは、よりよい心血管代謝率を示す

2年後、ミネラルウォーターグループに比べて、血圧、肥満、肝機能、薬物治療、症状または生活の質においては各グループ間で違いはなかった。

睡眠の質のみ、ミネラルウォーターグループに比べて、赤ワイン・白ワインのグループにおいて改善された。

しかしながら、ワインを飲んだ患者は、ミネラルウォーターを飲んだ患者に比して心血管代謝率リスクが減少した。赤ワインを飲んだ患者は脂質変動において有意な変化があった。

研究者らは、アルコールそのものが血糖管理の助けとなるように見える一方で、赤ワインは、非アルコール成分も役割を果たすことを示しつつ、脂質変動とメタボリックシンドローム全体の変動により強い影響があることを思いがけなく見つけた。

赤ワインは、白ワインの7倍のフェノール値があった。フェノール性の化合物が、心血管保護を増強させるかどうかは、未だ議論されている。研究チームは、赤ワインと白ワインの違いは、化合物の多様な生物引き渡し可能量に焦点をあてたさらなる研究が必要としている。

研究チームは、遺伝的相違が血糖管理に影響を与えることを発見し、それゆえ、遺伝子情報により、どの2型糖尿病患者が適度なワイン摂取によって利するかを特定することに役立つ可能性があることを示唆している。

治療割り当てを知っている患者を含むという限りはあるが、研究の長期性は強みである。

著者らは、ワインによる恩恵は、臨床現場に移行した時の可能性のあるリスクは慎重に検討されなければならないと警告している。

Medical News Today は、先日赤ワインがアルツハイマー病のバイオマーカーを安定させる可能性があるという研究について報じた。

http://www.medicalnewstoday.com/articles/300854.php
(2015年10月13日公開)

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