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27 Dec 2015
糖尿病患者は病気の進行中に様々な悪い健康転帰のリスクがある。そのような懸念の一つが腎臓機能である。新研究では、食餌性カリウムを使って、これらの疾患に取り組む方法のさらなる研究に拍車を掛けることが期待される。
糖尿病は、ますます大きな問題である。米国疾病対策予防センター(CDC)は、米国には2,910万人の糖尿病患者がいると推定している。
困ったことに、CDCは、今後数十年でこの数字が2倍あるいは3倍になると予測している。この予測が正しければ、米国人の3人に1人または5人に1人が2050年までに糖尿病になるだろう。
肥満が主要因であることは知られているが、本研究は、より是正しやすい、他の食物リスクファクターに対して行われている。
糖尿病における食事管理は、治療計画の重要な部分である。そして、減塩とカロリー制限食が最も一般的に推奨されている。
臨床医が糖尿病患者にアドバイスする標準的な食事は、基本的に必要以上に減塩した健康的でバランスのとれた食事である。
糖尿病における腎臓と心血管の問題
2型糖尿病は、末期腎不全と心疾患になる機会を著しく増加させる。高血糖、高血圧、高脂血しょうは、末期腎不全と心疾患の両方に対してよく知られたリスクファクターである。一般人口において、カリウムは高血圧と脳卒中を予防する手段として認知されている。しかしながら、末期腎不全と心疾患におけるその影響、特に健康的心血管と腎臓機能をもつ糖尿病患者の中では、あまり研究されていない。
カリウムは、体のすべての細胞、細胞組織、臓器の機能の正常化に関与している生命維持に必要なミネラルである。
ナトリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウムとともに、カリウムは電解質といわれる荷電粒子である。カリウムは、神経インパルスを伝導し、心臓のリズムを制御し、筋収縮をコントロールするのを助ける。それは、骨と体液平衡の両方を維持するために役割を果たしている。
多くの腎臓機能のひとつは、カリウムが正確なレベルで維持されることを確保することである。多過ぎても、少なすぎても同様にやっかいである。
滋賀医科大学の荒木信一氏による研究は、糖尿病患者における、食物カリウムと健康上悪い結果になることの関係に対する研究の新しい道を開くことが期待される。
糖尿病における食事
Clinical Journal of the American Society of Nephrologyに発表された荒木氏の研究は、カリウムの豊富な食事は、2型糖尿病患者の心臓と腎臓を防御するために役立つ可能性がある。
本研究は、日本人の2型糖尿病患者、いずれもこれまでは利尿剤を服用していないか、心血管疾患の病歴がない623名が参加した。患者は、1996~2003年の間に登録し、追跡期間中央値は11年であった。
この長期間の研究では、採尿を通してカリウムとナトリウムを測定した。尿中から採取されたこれらの成分の量が摂取量の正確な指標となる。
患者の尿中カリウム値が高くなると、腎不全と心血管障害のリスクは低くなるという結果が示された。一方で、ナトリウム排出とは何の相関関係もなかった。
著者らは、糖尿病患者の標準的行為であるように、エネルギー摂取を制限するという勧告には同意している。
しかし、荒木氏は、低カロリー、低塩食がカリウムの欠如になる可能性があると警告している。
糖尿病患者の食事選択を取り巻く難しさがよくわかっている。
「糖尿病患者の多くにとって、治療計画の最も困難な部分は、何を食べるべきかということである」
荒木氏は、糖尿病食プランにおいてカリウムを上げることが、末期腎不全と心疾患の各人における発症や少なくとも進行を予防できる可能性がある。
これらの結果は、糖尿病患者でない患者では、高食餌性カリウムにより腎不全と心疾患の発症の低下が関連しているという他の研究と一致している。
しかしながら、荒木氏は、現在の研究が糖尿病患者の腎臓に対するカリウムの予防効果を結論づけるものではないと注意をする。研究の目的は、将来的な食事の提言のための新ターゲットに対するさらなる調査に拍車をかけることであった。その意味で、本研究は成功であった。
高カリウム血しょう(血中のカリウム値が高い)は、糖尿病患者の中には影響を受ける危険な状態である。
Medical News Today は、糖尿病の腎臓におけるカリウム値改善の助けをする新薬についてすでに報じた。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/302530.php
(2015年11月13日公開)