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17 May 2016
一般名カルシトリオールで知られるビタミンDの新たな研究は、すでに多くの研究がなされているヒト・ホルモンの抗腫瘍活性を強化する可能性があるという、新しい見解をもたらした。
本研究結果は、AACR2016で発表された。
Roswell Park、Department of Pharmacology and Therapeuticsの研究員Wei Luo氏が筆頭著者であり、Roswell Park 、President and CEO のCandace Johnson氏が「Delineation of novel CYP24A1 transcriptional regulators, abstract 866」の上席著者である。
1,25-dihydroxyvitamin Dɜ(1,25Dɜ)の活性ビタミンDであるカルシトリオールは、臨床試験において抗腫瘍活性を制限したことが示された。
ビタミンの抗がん効果を制限するといったプロセスを説明すべく、Luo氏らは、酵素CYP24A1の過剰発現の影響を調べた。
研究者らは、CYP24A1の付加的抑制剤によりカルシトリオールの抗腫瘍活性が改善される可能性があると報告する。
低分子化合物ライブラリーから55,000以上の化合物をスクリーニングした後、カルシトリオールを制御する4つの化合物が同定された。
さらに、前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん細胞系において4つの化合物を調査した。
研究者らは、化合物CPI8とCPI17が転写レベルにおいてCYP24A1を制御させるとともに、CPI8によりがん増殖を制御する主要なタンパク質の発現が増加することを発見した。
彼らは、抗CYP24A1の発現が、ビタミンDの抗腫瘍活性強化の有用なアプローチである可能性を確信している。
「われわれは、ビタミンDにはがんを防止し制御する可能性があることを長年周知しており、研究室ではその事実が時々示されていた。しかしながら、大規模な臨床試験でその結果を示すことは不可能であった」と、Luo氏は述べた。
「そのため、ビタミンDの抗がん作用を抑制し、がん細胞を助ける可能性のある動力学の一部を見出せたことは、興味深い。これらのプロセスを利用し、問題解決方法を習得することを目指す」
http://ecancer.org/news/9202
(2016年4月22日公開)