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26 Jul 2016
研究者らのがんとの闘いの中で、最も注目すべき戦略の1つが、がん細胞への血液供給を阻止することである。
しかしながら、がん細胞は血管新生を促進し、細胞への血液供給を強化する「血管新生促進(pro-angiogenic)」のたんぱく質の産生を増加させることによって、これらの治療は効果を示さず、これまで有望と考えられた数々の治療はいつも失敗に終わっていた。
新たな研究において、研究者らは、腫瘍から血管新生促進のシグナルに反応する血管内皮細胞 (造血幹細胞;blood vessel-forming cells)機能を破壊することで、このプロセスを覆す方法を発見した。
Brant Weinstein氏がTAGC(The Allied Genetics Conference)のHaematopoeisis and Vascular Biology Sessionにて発表した。
この知見は、薬剤耐性リスクの低い、新たな治療法を導く可能性がある。
本研究は、National Institutes of Health、the Chinese Academy of Sciences およびShanghai Jiao Tong University、University of Missouriにおける国際研究チームにより実施された。
かれらの斬新なアプローチにより、造血幹細胞シグナルに反応する血管内皮細胞内の細胞質基質の補充が阻害される。
細胞質基質が使い果たされると、血管内皮細胞増殖因子(VEGF;vascular endothelial growth factor)と呼ばれる内皮細胞の機能が低下し、血管新生促進剤に反応する。従って、血管新生が制限される。
その上、腫瘍細胞がVEGF産生の増加により治療を圧倒しようとすると、内皮細胞内では細胞質基質のみが急速に消費され、治療の有効性が高まり、さらには腫瘍への血液供給が減少する。
マウス、ゼブラフィッシュおよび細胞培養を使用した初期検査において、このアプローチは成功を収めている。
http://ecancer.org/news/9788
(2016年7月13日公開)