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ecancer : 前立腺 : ESMO 2016 : Custirsenは、転移性前立腺がんで生存率向上効果見えず

14 Oct 2016

無作為化比較試験の第Ⅲ相試験において、前治療の転移性去勢抵抗性前立腺がんに対するcustirsenとカバジタキセル/prednisoneとの併用療法において、カバジタキセル/prednisone単独療法と比べて生存率に有意差が見られなかったことが、ESMO2016で発表された。

「ネガティブな結果ではあったが、前立腺がんに対するcustirsenの評価は抗腫瘍活性を増強する前臨床的および臨床的証拠に基づいて行われた」と、フランス、Villejuif 市のInstitut Gustave Roussy、Department of Cancer Medicineの部長で研究主任の Karim Fizazi氏は述べた。

Custirsenは、発がんと腫瘍の増殖に関連することで知られるタンパク質のクラステリンの生産を妨害するとともに、抵抗性に対する治療に貢献した。

前回の第Ⅱ相試験における、転移性去勢耐性前立腺がんに対するcustirsenと化学療法との併用では、クラステリン阻害が臨床転帰の改善につながるという可能性が示唆され、初期の第Ⅲ相試験での進行性がん患者に対するcustirsenとドセタキセルとの併用療法は、有益となる可能性が示唆された。

ドセタキセルで治療歴のある635名の転移性去勢耐性前立腺がん患者が参加したAFFINITY試験では、custirsenとカバジタキセル/prednisoneの併用、または、プラセボとカバジタキセル/prednisoneの併用を、21日サイクルで、疾患増悪または許容できない毒性作用が生じるまで、または10サイクルまでを無作為に割り当てた。

Custirsenとプラセボ間における全生存率に有意差はなかった。全生存期間中央値は、Custirsen 群14.2か月、プラセボ群13.4か月(p = 0.529)。

予後不良となった患者の62%に同じ転帰がみられた。全生存期間中央値は、custirsen 群11.1か月、プラセボ群10.9か月。 

進行性疾患により投与を中止する患者数は各群ほぼ同等で、custirsen群28.9%、プラセボ群25%であり、有害事象により中止した患者は、custirsen 群21.9%、プラセボ群18.9%。

最も多い報告の重篤な有害事象は、好中球減少、貧血、疲労、無力症、骨痛と発熱性好中球減少症であった。

「私はこの結果を残念に思うが、このプログラムへの参加を誇りに思う。将来の先進医療に向けて、われわれがこの試験で学んだことから疾患に対する知識は向上する」と、Fizazi氏は述べた。

「Custirsenは現在発展段階として、非小細胞肺がんの治療で必要とみなされている。1種の腫瘍に対して効果がなかったからといって、他の症状における試験結果はまだわからない」とFizazi氏は述べた。

イタリア、ローマのSan Camillo Forlanini Hospital 、Department of Medical Oncology の部長であるCora Sternberg氏は、次のように述べた。「多くのアプローチが前立腺がんの抵抗性を克服するために調査が続けられてきた。新たなタキサンやチューブリン阻害剤、細胞寿命経路の抑制などである」

「去勢耐性前立腺がんに対する第一選択または第二選択化学療法としてタキサンを使用した結果の考察より、仮説では、custirsenとの併用がタキサンの抵抗性を減少させ、タキサン治療の生存率を向上させる可能性が考えられた」と、Sternberg氏は述べた。

「抵抗性を克服するためにcustirsenを化学療法に加える、強い論理的根拠がある。しかしながら最終結果はネガティブであった。われわれは、第Ⅲ相試験開始前のさらに強固な生物学的分子層が必要かもしれない」とSternberg氏は結んだ。

http://ecancer.org/news/10248
(2016年10月10日公開)

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