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23 Jan 2017
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが実施した予備試験の結果によれば、免疫療法薬ニボルマブを標準化学療法と併用することにより、急性骨髄性白血病(AML)患者の奏効率が2倍以上となり、全生存期間が改善した。
12月5日、サンディエゴで開催された第58回米国血液学会年次総会で、ニボルマブとアザシチジン(AZA)を併用して現在実施されている第IB/II相試験の結果が発表された。この試験の対象患者は、以前に完全寛解率および全生存期間が不良であった患者である。
白血病部門の助教Naval Daver, M.D.は、「AZAとニボルマブを併用したところ奏効率が34%となり、既存対照のAZA単独による奏効率12~15%という値を上回った。全生存期間中央値も既存対照のAZA単独による値より改善しているが、持続性と全生存期間の点で得られる有益性を確認するには、さらに長期の追跡が必要である」と述べている。
また、この試験では平均年齢69歳の患者51例を追跡し、その25~30%に副作用が報告された。特によく認められたのが、肺炎、大腸炎、皮膚発疹および肝酵素高値であり、いずれも早期に認識されて全身性ステロイドにより管理された。既存対照のAZA単独投与患者では全生存期間中央値が4.7ヵ月であるのに対して、AZAとニボルマブを投与した患者では同9.3ヵ月となった。
Daver氏は、「AMLや骨髄異形成症候群の治療前・治療中の奏効性予測バイオマーカーを探索するほか、新たな標的になるチェックポイントを特定するため、MDアンダーソンの免疫療法プラットフォームで同僚と密接に協働している。このような免疫チェックポイント法が、白血病患者の転帰を改善する新たな手段になることを期待している」と述べている。
Daver氏は、免疫学部門主任のJames Allison, Ph.D.および泌尿生殖器内科腫瘍学教授のPadmanee Sharma, M.D., Ph.D.と協働して、奏効性予測バイオマーカーを探索した。Allison氏は、MDアンダーソンがんセンターが進めるムーンショット(注:壮大な挑戦の意)計画の免疫療法プラットフォームを率いている。このムーンショット計画は、科学的発見に基づきがんの予防、早期発見および治療を前進させる手段を迅速に確立して実践することにより、がんによる死亡率を低下させようという野心的な試みである。2012年に発表され、現在は特に難治性の高い種々のがんに焦点を合わせた13のムーンショットから構成されており、革新的な方法を支える深い専門知識、最先端の技術および基盤となる施設を提供する10のプラットフォームの支援を受けている。
試験チームの他のメンバーは、以下のとおりである。Guillermo Garcia-Manero, M.D.、Jorge Cortes, M.D.、Farhad Ravandi, M.D.、Elias Jabbour, M.D.、Stephany Hendrickson、Sherry Pierce、Marina Konopleva, M.D., Ph.D.、Michael Andreeff, M.D., Ph.D.、Steven Kornblau、Naveen Pemmaraju, M.D.、Hagop Kantarjian, M.D.(以上、白血病部門)、Sreyashi Basu, Ph.D.、Jorge Blando, D.V.M.(免疫学部門)、Jing Ning, Ph.D.(生物統計学部門)、Carlos Bueso-Ramos, M.D., Ph.D.、Juliana Elisa Hidalgo Lopez, M.D.(血液病理学部門)。
この試験は、白血病部門主任のHagop Kantarjian, M.D.率いるBristol-Myers-Squibb-MD Anderson Leukemia Department Allianceから資金提供を受けた。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/314555.php
(2016年12月6日公開)