ニュース
17 Apr 2017
米国では、認知症は何千万人の人々に影響を及ぼしている。新研究では、中年期に血圧の急降下を経験している人たちは、 高齢になった時に認知症を発症する可能性が高い。
アルツハイマー病は、認知症の最も一般的な形態であるが、最近では米国における死因リスクの6番目にランクされている。事実、米国の3人に1人がある種の認知症によって死亡すると推定されている。
新研究では、血圧が急降下した経験のある中年の人たちは、高齢になった時に認知症や深刻な認知低下を発症するリスクがある可能性がある。
本研究は、メリーランド州バルチモアにあるJohns Hopkins Bloomberg School of Public Healthの研究者らによって実施され、結果は、AHA(米国心臓協会)のEpidemiology and Prevention/Lifestyle 2017 Scientific Sessions(ポートランド)で発表された。
低血圧は、慢性的にめまい、倦怠感、吐き気、または失神を起こす可能性がある。一時的で、急速な血圧降下は起立性低血圧と呼ばれ、脳に必要な血流を止めるような深刻なダメージを起こす。
従来の研究では、高齢者における起立性低血圧と認識機能障害の関係を示唆されてきた。しかし、Bloomberg School Johns Hopkins 疫学部の博士課程修了後の研究者Andreea Rawlings氏 が率いたJohns Hopkinsの新研究では、両者の長期間の相互関係を調査した最初のものである。
The researchers examined clinical data from the Atherosclerosis Risk in Communities study, which collected information on 15,792 participants aged between 45 and 64 in 1987, the year of enrollment.
研究者らは、1987年に登録した45歳から64歳の15,792名の参加者に関する情報を集めたAtherosclerosis Risk in Communities studyの臨床データを調査した。
起立性低血圧の患者は認知症になるリスクが40%高くなる可能性
新研究では、Rawlings氏とそのチームは、心疾患の病歴がない11,503名の患者のデータを抽出し、初めてその病院を訪ねた。研究者らは、20分間横になってもらった後に患者の血圧を測った。
研究者らは、起立性低血圧を20mmHg急降下、または拡張期血圧における10mmHgまたはそれ以上と定義した。
参加者のおよそ6%または703名が、これらの基準に合致した。
研究チームは、その後の20年か、それ以上の期間、参加者を臨床的に追跡した。
研究チームは、最初の訪問時に起立性低血圧だった人たちは、起立性低血圧でない人たちより認知症を発症するリスクが40%高かったことを発見した。起立性低血圧の患者もやはり15%以上の認知低下があった。
「たとえこれらの症状の発現が一過性であるとしても、症状の発現が長く続くという影響がある可能性がある。中年期に起立性低血圧になった人たちは、なかった人たちに比べて、認知症を発症する可能性が40%も高いことを発見した。それは有意義な結果であり、なにが起きているかをより理解する必要がある」
Andreea Rawlings, lead author
これは観察研究であるので、研究者らは、原因を立証したり、起立性低血圧が認知低下の原因のもう一つの疾患の指標かどうかも説明することはできない。しかしながら、脳への血流低下がある役割を果たしている可能性があると推測している。
本研究の筆頭著者は、患者たちが起立性低血圧を1回だけ経験した、または長い間繰り返し起きる症状とともに生活してきたかどうかわからないことから生じる本研究の限界も認めている。
「認知低下と認知症のリスクファクターを同定することは、疾患進行を理解するためには重要である。最もリスクのある人たちの同定は、予防と介入のための可能な戦略をわれわれにもたらしてくれる」とRawlings氏は述べる。
「これは、さらなる研究の価値がある、これらのファクターの一つである」
http://www.medicalnewstoday.com/articles/316322.php
(2017年3月12日公開)