ニュース
10 Jun 2017
大規模研究で、491名の睾丸がんの生存者の38%が、性腺機能低下症として知られるテストステロン値が低かった。
通常のテストステロン値の生存者と比べて、低テストステロンの生存者のほうが、高血圧、糖尿病、勃起障害、そして不安神経症やうつ病を含むさまざまな慢性的健康問題を持っている傾向が強かった。
この研究は、ASCO 2017の年次集会の記者会見で特集され、発表される予定である。
「睾丸がんは若くして発症し、治癒率が高いので、多くの生存者が50年以上生存する可能性がある」と、筆頭著者である、Indiana University School of Medicine(米国、インディアナポリス)のMohammad Issam Abu Zaid氏は述べた。「われわれの知見は、医師らが睾丸がんの生存者に性腺機能低下症の身体的兆候または症状にアクセスし、そのような人たちにおけるテストステロンを測定する必要性を明確に示している」
低テストステロンは、睾丸がん診断時に発現する可能性がある。または、手術や化学療法の副作用として発症する可能性もある。
低テストステロンは睾丸がんの生存者の相当な割合で起こることが知られているが、これは北米の患者における長期にわたる健康の合併症とテストステロンの関係を調査する最初の研究の一つである。
この解析はPlatinum Studyに登録した最初の491名の患者から得たものである。本研究は、すでに登録した1,600名以上の生存者とまだ積極的に募集している生存者による、世界規模の睾丸がんの生存者の最も大規模な研究を目指している。
患者全員が化学療法を受け、がんと診断された時は55歳より若かった。
臨床評価時の平均年齢は38歳であった。
Platinum Studyのゴールは、睾丸がんのためにシスプラチン化学療法を受けた男性の生涯にわたる健康を追跡することである。
研究者らは、血圧と聴力検査のような基本的な測定と同様、包括的な質問と血液サンプルを通して健康に関する情報を集めた。
本研究では、神経障害と聴力低下のような長期間の健康問題を発症する機会を上げる可能性のある遺伝子を同定することも目標としている。
本研究は、National Institutes of Healthの1機関 であるNational Cancer Instituteより資金援助を受けている。
491名の生存者中、38%がテストステロン値が低いか、テストステロン置換療法を受けていた。
太りすぎ、または肥満が、加齢とともに、低テストステロンになる可能性が高くなることに関連していた。
研究者らは、ある男性を低テストステロンにかかりやすくように見える遺伝子異常(性ホルモン結合グロブリン遺伝子内)も発見した。しかし、これは、さらに大規模な研究において確認される必要がある。
激しい身体活動をしている生存者はテストステロン値が高いように見えた。
通常のテストステロンの生存者と比べて、低テストステロンの睾丸がんの生存者は以下の薬を服用している傾向が高い:
• 高コレステロール(20% vs. 6%)
• 高血圧(19% vs. 11%)
• 勃起障害(20% vs. 12%)
• 糖尿病(6% vs. 3%)
• 不安障害またはうつ病(15% vs. 10%)
「これらの健康問題のいくつかは、従来は一般人口と睾丸がんの生存者のいくつかの研究における男性の低テストステロンに関係していた。しかし、この研究は、今までで最もわかりやすい研究の中の一つである。われわれは15の異なる健康状態をみている」とAbu Zaid氏は述べた。
研究者らは、生存者のこのグループを追跡し、今まで本研究に登録した1,600名の生存者のコホート全体に解析を広げるだろう。
They also plan to eventually enroll a group of survivors who were cured with surgery only, to parse out the effects of surgery vs. chemotherapy on the development of adverse health outcomes and further examine testosterone levels.
彼らは、有害な健康転帰の発症に対する手術対化学療法の効果をはっきりさせ、またテストステロン値をさらに調査するために、最終的に手術のみで治癒した生存者グループも登録する計画をしている。