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10 Jun 2017
高リスクの転移性前立腺がんと新規に診断された男性に対する標準ホルモン療法+アビラテロン(Zytiga)+プレドニゾンの併用療法により、死亡率が38%まで減少する。
男性1,200名の第III相試験において、アビラテロンは、がんが悪化するまでの平均期間を14.8 か月から33 か月まで2倍以上に伸ばした。
本試験は米国臨床腫瘍学会(ASCO)の記者会見で特集され、発表されるだろう。
「平均5年以内で死亡する転移性前立腺がんと新規に診断された男性の治療を改善するために大きな解消されないニーズがある」とフランスUniversity Paris-SudのDepartment of Cancer Medicine at Gustave Roussyの部長であり、筆頭著者のKarim Fizazi氏は述べた。「本試験でわれわれが調査したアビラテロンの早期使用によるベネフィットは、少なくともドセタキセル化学療法のベネフィットと同等である。ドセタキセルは先の臨床試験で調査されたが、アビラテロンは多くの患者から全く副作用の報告がなく、ずっと許容しやすい」
前立腺がん増殖はテストステロンによって増幅される。アンドロゲン遮断療法(ADT)は、睾丸がテストステロンを産生するのを防ぐことで前立腺がんに対して機能する。
ADTにもかかわらず、副腎と前立腺がん細胞は少量のアンドロゲンを産生し続ける。
アビラテロンは、他のホルモンをテストステロンに変える酵素を阻害することによって、体中のテストステロンの産生を止める。
FDAは以前、ADTにも関わらず、悪化した転移性前立腺がんの患者のためにアビラテロンを承認した。
LATITUDEは、過去にADTを受けていない、高リスク転移性前立腺がんと新規に診断された男性の多国間無作為化プラセボ対照試験である。
すべての患者が少なくとも3つの内2つのリスクファクターを持っていた:Gleason score (腫瘍悪性度の評価) 8つまたはそれ以上、骨転移3つまたはそれ以上、または内臓転移(肝臓のように、体の特定の場所の他の臓器に広がる)3つまたはそれ以上
患者はADT+アビラテロンとプレドニゾンかADT+プラセボに無作為に割り付けられた。
プレドニゾンは、アビラテロンによる低カリウムや高血圧のような特定の副作用を管理するためにアビラテロンとともに定期的に投与される。
30.4か月の平均追跡期間で、アビラテロンの投与を受けた男性は、プラセボの投与を受けた男性より死亡リスクが38%低かった。
平均全生存率は、アビラテロン群ではまだ達成されていなかった(アビラテロン群の患者の50%以上が解析時に生存していた)。プラセボ群では34.7か月だった。
アビラテロン群は、プラセボ群に比べてがんの悪化リスクは53%低く、結果としてがん増殖は平均18.2か月遅かった。
いくつかの重篤な副作用はプラセボよりアビラテロンとプレドニゾンのほうがよく起こった。高血圧(男性の20%対10%)、低カリウム値(10.4%対1.3%)、そして肝酵素異常(男性の5.5% 対1.3%).
「われわれは糖尿病のある患者のように心疾患に対するリスクが高い男性においてアビラテロンを使用する時には注意する必要がある」とFizazi氏は述べた。
「われわれは、ドセタキセル化学療法が2015年に生存率を改善すると分かるまでは、同じ方法で70年間転移性前立腺がんを治療してきた。そして、2017年の今、われわれはアビラテロンも患者がより長く生きる助けになることを示す」と、Fizazi氏は述べた。「次のステップは、ドセタキセルにアビラテロンを追加することがさらなるベネフィットをもたらすかどうかを見ることである」 その研究は、現在ヨーロッパで進められている。
Watch the press conference coverage here.
http://ecancer.org/news/11710-asco-2017–latitude-trial-of-abiraterone-for-metastatic-prostate-cancer-doubles-median-pfs.php
(2017年6月3日公開)