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24 Jan 2018
研究者らは、大腸がんに対するもっと効果的な武器に道を開くために、人工的に作ったプロバイオティ クとアブラナ科の野菜を使って実験している。
米国疾病対策センター(CDC)は、米国では、大腸がんを診断されるがんの中で3番目のがん種であり、がん関連死として2番目に多い原因と考えている。
National Cancer Institute (NCI)のデータによれば、2017年に大腸がんと診断されたのは推定約135,430例だった。
この種のがんの治療後の生存率は、一般的に望みを与えてくれるものである;患者の64.9%が長期生存率を有する。
しかしながら、この疾患のさらに進行したステージでは、治療後の転帰は楽観的とはいえない。そして、腫瘍の再発の可能性も高まる。
現在、National University of Singapore のYong Loo Lin School of Medicine のChun-Loong Ho氏とMatthew Chang氏らは、大腸がんを治療し、かつ再発を防ぐための新しい方法を調査している。
研究者らは、最終的にすでに使用可能な成分から効果的な抗がん“カクテル”を作り出すために、人工的なプロバイオティクとブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツのようなアブラナ科の野菜から抽出した物質の混合物を使って実験している。
その結果は、Nature Biomedical Engineering誌に今週初めに発表された。
根底では、遺伝子操作された病原菌
Ho氏らは、 非病原性(疾患を引き起こさない)病原菌Escherichia coli Nissleに焦点を当てた。 彼らは、このE. coli 株を大腸がん細胞に見られるタンパク質に結合することができるだろうプロバイオティクへと遺伝子操作をした。結果として、ミロシナーゼと呼ばれる酵素がつくられる。
ミロシナーゼは、結果的にアブラナ科の野菜に見られる物質であるグルコシノレートを スルフォラファンに変換するために使われることが可能である。研究者らはすでに示唆したが、スルフォラファンはがん細胞に対する保護効果がある可能性がある。
Ho氏らは、このように作られたスルフォラファンがそれを取り巻くがん細胞と相互作用し、それらを死滅させるだろうと期待していた。
正規の非がん性細胞はグルコシノレートを変換できないので、―そして、非がん性細胞はスルフォラファンに影響されないので―研究者らは、大腸がんだけがスルフォラファンの標的とされるだろうと考えた。
In vivoと同様にin vitroの実験により、Ho氏らの仮説は確認された。ブルーベリー抽出エキスまたはグルコシノレートの溶液どちらかとともに遺伝子操作されたE. coli を大腸がん細胞が入ったシャーレ―に加えると、結果的に、大腸がん細胞の95%以上が抑制された。
これは、ラボで作られた大腸がん細胞株と同様に、ヒトとマウスの腫瘍の両方から供給された大腸がんでも当てはまった。
しかし、乳がんと胃がんを含むがん細胞の他の種類での実験では、実験的混合物が大腸がん以外のがんでは感知可能な効果がないことを示した。
“母はやはり正しい”
大腸がん腫瘍を使ってマウス上で実験した時、実験的混合物により、腫瘍数が75%減少した。
研究者らは、残存腫瘍のサイズが縮小したことにも言及した―それらは、プロバイオティックとアブラナ科の野菜の混合物を投与しなかった動物のコントロール群の同等のもので看破されたものより3倍小さかった。
Ho氏らは、ブロッコリーから抽出した物質と一緒に使われた新しく遺伝子操作したプロバイオティックが大腸がんとの闘いにおいて二重の役割を果たす可能性があると期待する。
一例として、新混合物は大腸がん腫瘍が形成されるのを阻止するのに役立つ可能性がある。結果として、治療または手術の後遺症においてすべての残存腫瘍を死滅させ、この結果、腫瘍再発の機会を抑制することにも役立つ可能性がある。
「われわれの戦略のエキサイティングな側面は、われわれの食事を持続可能な低コストの治療レジメンに潜在的に変換しつつ、われわれのライフスタイルにとって有利になるように利用することである」
Matthew Chang氏
さらに楽観的な気分で、Ho氏が話すように、最新の試験の知見は“野菜を食べることは重要であり、やはり母は正しい”ということを強調する。
https://www.medicalnewstoday.com/articles/320595.php
(2018年1月14日公開)