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09 Feb 2018
体がどのように赤血球をつくるのかという新発見が貧血治療の改善に繋がる可能性がある。
University of Virginia School of Medicineの研究者らは、iron-restricted anemiaにおいてなぜ体が十分な赤血球を産生できないのかを調査中に本発見をした。
彼らは、赤血球の産生におけるホルモンエリスロポエチン(EPO)の役割を主題とする知見をJournal of Experimental Medicine誌に発表する。
貧血は、組織へ酸素を運ぶための赤血球が不足しているか、赤血球が不完全で適切にやるべきことをやれないか、どちらかの血液疾患である。これが虚弱、倦怠感、集中力の欠如、そしてほかの症状に繋がる。
世界的に、貧血は1,600万人以上に影響を与える非常に大きな問題である。
米国では、貧血はますます大きな問題である。患者数は2003~2004年から2011~2012年の時期に、4%から7%とほぼ倍になっている。
鉄、赤血球、そしてEPO
貧血の種類と原因はたくさんある。最も一般的なのが、体がヘモグロビンを作るために必要な鉄の欠乏に関係する。ヘモグロビンは赤血球のなかのタンパク質で酸素を運ぶのを助ける。
鉄は、他の生物学的機能にも不可欠である。そして、体は壊れた赤血球から鉄をリサイクルすることを含めて、その成分を保護する幾つかの方法を進化させてきた。
鉄が多すぎると毒にもなりえる。そして、体は鉄が安全なレベル内にとどまるようにするメカニズムを持っている。例えば、体は吸収を制限し、再生利用から日々の不足の多くを満たす。
赤血球はEPOによってコントロールされる複雑なプロセスにおいて骨髄で作られる。
EPOは骨髄幹細胞に指示を送る。骨髄細胞はEPOレセプターの外表面上でEPOを通して指示を受ける。
EPOレセプターは細胞の外側にある必要がある
しかしながら、Prof. Goldfarb’s groupの博士課程の学生であり、筆頭著者であるShadi Khalil氏は、研究室で骨髄幹細胞を調査中の意外なことにふれた:彼は、骨髄幹細胞は、その外表面上ではなく、その内部に多くのEPOレセプターを含んでいると述べた。
これによって、EPOホルモン指示がある人々では失敗する理由が、彼らの骨髄造血幹細胞がその表面上に十分なEPOレセプターを持っていないからではないかと彼は思った。
マウスでのいくつかの実験後に、研究者らは疑問に対する回答を見つけた―少なくとも部分的に。彼らは、レセプターの強制的表面保持をしたマウスは鉄欠乏に伴う貧血を発症しないことを発見した。
しかしながら、パズルの1ピースはまだみつかっていなかった。
結果が新治療を刺激する可能性がある
チームの他のメンバーはすでに欠落したピースに取り組んでいることが明らかになった。これは、もし鉄濃度があまりにも下がった場合、EPOレセプターを制御する特殊なタンパク質が消滅することを示唆した。そのタンパク質はSCRIB遺伝子によってコード化され、Scribbleと呼ばれる。
「Scribbleの欠落は、EPOレセプターの表面発現を抑制するが、生存シグナル伝達を選択的に保持する」と著者らは注記する。
言い換えれば、彼らは血中鉄濃度はScribble値に影響し、Scribbleが同様にして、EPOレセプターが骨髄細胞の内側または外側に集まるかどうかを決めることを発見した。
「われわれは、これが鉄に端を発し、最終的に細胞がどのくらい、かつどのような種類のメッセージを取得するかをコントロールする1種の複雑なシンフォニーであることを実感した」とKhalil氏は説明する。
研究者らは、“EPO抵抗の調整法” に関する発見が貧血の新しい治療に繋がることを期待する。
「われわれは主要な要素を得た」と、Goldfarb氏は結果を要約し、次のステップを指摘しながら述べる。「われわれはこれをコントロールしている最上の制御因子へそのヒエラルキーを引き上げたい」
「われわれがそうする時、貧血治療の代替え治療により近づくだろう」
Adam N. Goldfarb氏
https://www.medicalnewstoday.com/articles/320717.php
(2018年1月24日公開)