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19 Feb 2019
Veterans Health Administration(VHA)の5年間のデータを分析した大規模後ろ向き研究は、最新の前立腺がん治療薬 – 酢酸アビラテロンまたはエンザルタミドで治療した、過去に化学療法を受けていない、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)のアフリカ系アメリカ人男性は、同じ治療を受けた白人男性と比較して20%長寿命であった。
これらの結果は、カリフォルニア州サンフランシスコで開催される2019 Genitourinary Cancers Symposiumで発表される。
「われわれは歴史的に見て、他の人種グループの男性と比較して、前立腺がんがアフリカ系アメリカ人においてより一般的で、より攻撃的で、そしてより致命的であることを知っている」 と、ノースカロライナ州ダーラムのDuke University School of Medicineの准教授であり、筆頭著者であるMegan McNamara氏は述べた。 「他の健康関連リスクとのバランスをとりながら、この分析では、白人男性と比較して、最新のホルモン剤での治療により、アフリカ系アメリカ人男性の生存率が有意に向上したことがわかった」
研究について
研究者らは、18歳以上で、前治療は外科的または内科的去勢のみの前立腺がんの男性に焦点を当てた2013年4月から2018年3月までのVHAデータを分析した。
疾患が進行した男性の中で、研究者らは酢酸アビラテロンかエンザルタミドのどちらかの治療を受けた人だけを含めた。
これらの薬は、化学療法を受けていないmCRPCの男性を対象として、それぞれ2013年および2014年の承認を受けている。
研究者らは、患者がVHAから登録解除されるか死亡するまで患者の健康状態を観察した。
全体では、分析には、mCRPCを有する白人男性2,123人およびアフリカ系アメリカ人男性787人からのデータが含まれ、それぞれ平均年齢は74歳および71歳であった。
本研究の白人男性と比較して、本研究のアフリカ系アメリカ人男性のほうが高血圧症、2型糖尿病、および肝臓損傷または異常の割合が高かった。
主要な結果
VHAデータベースで得られる人口統計学的および臨床的特徴の調整後、いずれかのホルモン療法で治療したアフリカ系アメリカ人男性は、白人男性の26か月間と比較して中央値30か月間生存していたことがわかった。
次のステップ
この研究グループは、Abi Raceと呼ばれる前向き臨床試験を実施した。この試験は、前立腺がんを酢酸アビラテロンで治療したアフリカ系アメリカ人男性と白人男性の転帰を調査している。
Abi Race試験の最初の所見は2018年ASCO年次総会で発表され、酢酸アビラテロンで治療したmCRPCのアフリカ系アメリカ人男性は、白人男性と比較して、より良いPSA反応を示した。
本試験の血液サンプルをさらに分析して、アンドロゲンの代謝と輸送に関わる重要な遺伝子の多様性が治療反応の人種差の裏にあるいくつかの生物学の説明に役立つかどうかを調査している。
これらの結果が、前立腺がんに対する特定の薬で治療した場合、なぜアフリカ系アメリカ人男性が白人男性より長生きするのか、そしてなぜアフリカ系アメリカ人男性は白人男性よりも前立腺がんの発生率が高いのかについての理解を深めることが期待される。
「この研究の重要な目標は、われわれがより効果的に治療を調整できるように、なぜある男性が他の男性より前立腺がんの特定の治療によく反応するのかを理解することである」とMcNamara博士は述べた。 「標的療法の開発を導くことができるバイオマーカーをみつけることが究極の目標である。」
https://ecancer.org/news/15434-asco-gu-2019—african-american-men-with-advanced-prostate-cancer-live-longer-compared-with-white-men-when-treated-with-newer-hormone-therapies.php
(2019年2月11日公開)